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ヨウ素触媒を使ったエナンチオ選択的スピロラクトンの合成

Enantioselective Kita Oxidative Spirolactonization Catalyzed by In Situ Generated Chiral Hypervalent Iodine(III) Species
(Angew, 2010, ASAP)

名古屋大学、石原研の論文
2/18に各新聞などに掲載された論文
yahooニュースで知った人も多いでしょう
ようやく公開されました
広報が先になった理由は出版社、研究室、大学いずれかが公開日を間違えたのでしょう

内容は超原子価ヨウ素触媒の反応
反応は、現、立命館大学教授の北泰行らのグループが報告したものそのもの
彼らの論文(Angew, 2008, 3787)では

0303.jpg

スキームのようにスピロラクトンをえていますが、高いeeでプロダクトを得るためには
ヨウ素は110mol%(55%×2)必要であるという課題があります
(触媒量にするとeeがさがる)

今回の石原らの論文では
2_20100220034129.jpg


このような新しい触媒を設計し、10~15mol%の触媒量でも上のスキームと同じ反応が最高92%という高いeeが出たという内容
(等量触媒を使うと95%eeまであがる)
系中でmCPBAと反応することでスキーム右側の3価のヨウ素ができそれが真の触媒種と考えているようです
具体的なメカニズムや遷移状態はまだ検討中

北らとは全く別の骨格の触媒を設計しキラル源を触媒量にした点はすばらしいです
(しかもビナフチル骨格でもアミノ酸や糖由来の骨格でもない)
触媒設計の鍵は末端のアミド部分で、ここを様々かえたものを作っています
(メチルエステルでもそれなりにかかるようなので、個人的にはフェニルエステルが気になります
ただ、収率がエステルは低いので作っているけどだめなのかもしれませんね)

なお、この論文に関して日本化学会第90春季年会において口頭発表があります
3F5-07 光学活性超原子価ヨウ素(III)触媒による1-ナフトール類の脱芳香型酸化反応を鍵とするスピロラクトンの不斉合成
この論文以降の展開が出てくると期待されます
さて、Angewに掲載される日本人の論文はたくさんあります
反応は既知(しかも日本人が開発)、触媒も骨格は違うものの同じヨウ素、VIPにもなっていない
ではなぜ、今回の論文はこれほどまで大きく宣伝されたのでしょう?

どうやらこの答えはAngewの表紙に選ばれたからのようです
表紙も同時に公開されていて
勝手に解釈すると
触媒である鶴がスピロラクトンの高いeeという桜の花を咲かせています
そしてその鍵となっているのは背景にある赤富士でこれが超原子価ヨウ素を表しているんだと思います
(触媒自体は色はついていないようですがヨウ素=赤のイメージ)

ただ、日本の山は富士でいいとおもいますが、国鳥は鶴ではなくキジなんですよね
ちなみに国花は指定がないので(時期的にも)桜でいいとおもいます


yahooニュースのコメントを見ると
よくわからないけど、なんかすごそう
というのが一般の人の意見のようです
一般の人にとっては明らかに難しい反応でしょう
でも、こういった広報活動により有機化学の重要性を知ってもらうことは
訳のわからない理由で予算を削減されることを防ぐためには重要だと思います
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テーマ : 化学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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非公開コメント

No title

パッと見、汎用性のありそうな不斉酸化剤のようですね。

前論文がIBXのカルボン酸をスルホン酸にしたものだったので、
てっきりBINOLの3,3'位にヨウ素を導入し、OHの部分をスルホン酸に
したようなものを出してくると予想していたのですが。w

不斉酸化というとエポキシ化ばかりでしたが、光学分割など
その他の酸化反応への応用に興味があります。

Re: No title

> てっきりBINOLの3,3'位にヨウ素を導入し、OHの部分をスルホン酸

やるなら個人的には逆で2,2'にヨウ素の方がいいと思いますが
それだと北らのものに設計は大分近くなります

この論文と併せて考えると
ビナフチルではeeかからないんでしょう
やってないとは考えづらいです

(ビナフチル以外の)
スルホン酸つきのヨウ素はどうでしょうね?
前報を見るとスルホン酸を入れると反応性があがってしまうので
暴走気味になってeeがかからないのか
スルホン酸作るのは大変そうなので作れないのか、
それとも、まだやってないだけなのか
そこまでは、わかりませんね~
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