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cover letter 再び(5/3改変)

Which Is the Actual Catalyst: Chiral Phosphoric Acid or Chiral Calcium Phosphate?
(Angew, 2010, ASAP)
名古屋大学、石原らの論文です
issue12(超原子価ヨウ素)に続いて今年、2回目のcoverです
一年に2回もcoverをとるのはすごいですね~


さて、内容ですが
反応としてはリン酸触媒でdirect Mannich-typeということで
寺田らによってすでに報告されている反応です(J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 5356.)

研究は
寺田らの再現をとろうとしたところ再現がとれず、
寺田らが報告したR体ではなく
逆の立体のS体の生成物がとれてしまうことを見つけたところからスタートします

0502.jpg

そこで詳細に調べたところ
寺田らの触媒は純粋なリン酸ではなくsilicaで精製した段階で
Ca塩になってしまっていたということを発見します
MSはNa塩とCa塩の2種類を検出していますがNa塩ではeeがかからないことから考えると
寺田らの結果はすべてCa塩なのでしょう
(Naは分析途中で混じったのだとおもいます)

そしてどちらの触媒もそれぞれ活性があると報告しています(これがタイトルの答えですね)
ただし、リン酸とそのCa塩では反応条件が違っています
1,溶媒がトルエンとCH2Cl2
2,リン酸は-30度(24h)、一方Ca塩はrt(1h)でおこなっている
リン酸はrtにするとeeが悪くなります(Ca塩-30度はデータがないので反応するのかわかりません)

それぞれ基質を振ったテーブルを別に作っていますが
どちらかというとCa塩は基質汎用性は狭い感じがします
(Ca塩そのものの安定性もあるでしょうし
遷移状態考察もかなり込み入った感じになっているので仕方ないのかもしれません)
同一基質だと立体は逆になります(上のスキームの例以外に2例、drに違いはない)

PのNMRから
Ca塩は普段はオリゴメリック
(FAB-MSではオリゴメリックなピークはでていないようです、そもそもFABMSでは厳しいとおもいます)、
基質を入れるとモノメリックになると考察しています


酸触媒を扱うときには塩になることを気をつけなければいけないという教訓を与えてくれます
酸触媒を合成したときには(NMRでは塩がわからないので)
HClで洗うあるいは、イオン交換をするという最終精製をきちんとすることは重要ですね

ビナフチルはアミノ酸や糖由来の触媒と違って逆の立体も等価なので
リン酸とカルシウム塩で立体が逆になるといっても
逆の立体がほしければ触媒の離隊を逆にすればいいという発想になってしまいます
一方、例えばペプチド触媒の場合、塩にするだけで立体が逆になるなら
(逆の立体を合成するのは高いため)多少eeが下がったとしても大きな意味はあると思います

今回の場合、立体が逆ではあるものの塩であるかないかでeeはかかりました
しかし、塩にするとeeがかからないということになると大変です
突然再現がとれなくなったり、
いかない反応がいったりなど(気づかない)間違った結果で混乱してしまいます
こういった場合、実際にものをみていない、実験していない指導者はなかなか気づかないので
実験者が(触媒がなにかおかしいのではないか→精製に問題?→塩?)と気づく必要があります
この過程が研究であり、(今回の場合リン酸-Ca塩という)新しい化学が出てくるおもしろいところですね
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